研究課題
本研究においては、ダウン症候群患者に顎顔面形態の不調和が起こることから、ダウン症候群の原因となる21番染色体(トリソミー)状にコードされるDown syndrome critical region1(Dscr1)のカルシニューリン阻害活性に着目し、骨形成への関与を検討する。ダウン症の病態原理解析により「骨形態形成不全への新たな治療標的の探索」を目標とした。具体的には、Dscr1バリアント特異的な発現変調が骨芽細胞にいかなる影響をもたらすか?さらには、骨代謝機能にいかなる変化を与えるか?を解明することである。研究期間を通じ、以下の結果を得た。〇骨芽細胞株TMS-12を用い、細胞内cAMP濃度を上昇させた際のDscr1.v2タンパク発現量の上昇をWestern blotting法を用いて同定した。転写レベルと同様の結果であるため、Dscr1のバリアント特異的な機能と骨の形態形成に何らかの関係があるのではないかと推察された。〇ウィルスベクターによる導入法を用いてDscr1.v1およびDscr1.v2過剰発現株(TMS-12細胞)を樹立、石灰化能についてDscr1.v2過剰発現株に有意な変化を認めた。(破骨細胞支持能については有意差なし)〇Dscr1.v1およびDscr1.v2タンパクのN末端領域のアミノ酸に変異を導入したDscr1変異体安定発現株を数種類樹立、Dscr1タンパクの機能発現領域の特定を目的としたが機能発現領域の特定には至らなかった。〇TARGATTTM部位特異的遺伝子ノックインシステムを用いたDscr1.v2過剰発現トランスジェニックマウスの作成を行った。三ヶ月齢、一年齢において大腿骨を用いた骨形態計測解析を行ったが著明な変化は得られなかった。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Journal of Bone and Mineral Metabolism
巻: 41 ページ: 171-181
10.1007/s00774-023-01409-y