矯正歯科治療中、多くの患者は痛みや不快感を訴える。矯正力を加えた1日後に痛みはピークとなり、その後徐々に軽減はしていく。しかし持続的な矯正力が加わるにも関わらず、疼痛が消失するメカニズムについての報告はない。本研究では実験的歯の移動モデルラットを用い、内因性オピオイドと矯正力による疼痛との関連性について行動学的検討を行った。侵害受容行動は1日目に有意に延長し、5日目はコントロールレベルまで回復した。初期の疼痛にはTRPA1チャネルの活性化の関与が示唆され、5日目における疼痛抑制は内因性オピオイドによるものではないことが示唆された。
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