石川県七尾市中島町の地域在住高齢者に認知機能検査、生活習慣調査、口腔機能検査を実施した。残存歯数により被験者を3つの集団(残存歯が10歯未満、残存歯が10~23歯、残存歯が24歯以上の集団)に分けて統計分析を行ったところ、残存歯が10歯未満の認知機能正常者の集団は、残存歯が24歯以上の認知機能正常者の集団と比較して海馬傍回、上頭頂小葉、中側頭回、舌状回および上側頭溝の側壁(bankssts)の容積が有意に小さく、深部灰白質の容積が有意に大きかった。これは認知機能が正常な人でも歯を喪失すると、認知症の特徴である海馬傍回の萎縮と深部灰白質の容積の増大が起こることを示唆している。
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