研究実績の概要 |
2019年度は,複数の評価項目を用いる臨床試験の実態調査に関する論文(Sakamaki et al, Ther Innov Regul Sci, 2020)と多重比較法に関する書籍(坂巻ら, 朝倉書店, 2019)を出版した。これらは,中間解析を伴わない臨床試験において複数の評価項目を統計学的にどう評価するかをまとめたものを含んでおり,本研究の基礎となるものである.また,実態調査に関する論文から,中間解析を伴う臨床試験においても複数の評価項目が用いられていることが明らかになり,本研究の意義をより明確にした。 これらを踏まえ,複数の生存時間アウトカム(評価項目)を効率よく評価するための臨床試験デザインとして,複数の評価項目に関してはBonferroni手順に基づく多重性の調整をし,中間解析に関しては保守的となる多重性の調整方法を用いるデザインを開発した.実際には,1) 中間解析に関する検定統計量の相関に関して保守的な相関を用いる,2) 中間解析を実際に実施したかにかかわらず予定通り多重性を調整する,という考えに基づき,保守的な調整方法を提案した.提案デザインの一部をシミュレーション研究により評価し,The 6th International Symposium on Biopharmaceutical Statisticsにおいて学会発表した.この研究成果に基づき,シミュレーション研究の設定や回数をアップデートし,2020年度の研究に繋げる.
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