研究課題/領域番号 |
19K19429
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
山口 崇幸 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (90748964)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肺がん / コンパートメントモデル / 最尤推定 / 新型コロナウイルス感染症 |
研究実績の概要 |
副流煙を考慮した個体群動態モデルを基にした肺がんの微分方程式によるモデルの実装を行った。推定すべき時間に依存した関数はスプライン関数を用い、罰則付き最尤法でパラメータを推定する。男女別年齢別の人口、死亡数、肺がんによる死亡数、喫煙率などのデータから尤度を定義し、尤度の最大値をとるパラメータを求めるためには準ニュートン法の一つである L-BFGS-B 法を用いる。平滑化パラメータはデータを一定間隔の日付で分割したクロスバリデーションで定める。信頼区間は定常ブートストラップで得たサンプルからパーセンタイル法で計算する。L-BFGS-B 法を適用するとき、尤度の勾配の計算が必要になるが、この微分は解析的には解けないため、数値微分の中心差分近似で計算される。この数値微分を並列計算で行うプログラムを実装し、計算時間を削減するようにした。このような方法でモデルのパラメータの推定を行いながら、コンパートメントの構成を検討した。モデルについての基本的な内容については、数理解析研究所講究録 2021, 2184: 23-30 に記述した。また、コンパートメントモデルを用いた同様の方法で推定する派生した研究として、新型コロナウイルス感染症の SEIR モデルに適用した。日付に加えて、感染から日数と発症からの日数を考慮した差分方程式の SEIR モデルを構築し、第1波と比べて第2波では短くなっている診断までの時間が実行再生産数に与えた影響の評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スプライン関数を用いたコンパートメントモデルを時系列に適合する方法の検討を行い、アルゴリズムの実装を行ってきた。プログラムは実用できる状態になっており、副流煙を考慮した個体群動態モデルを基にした肺がんのモデルや新型コロナウイルス感染症のSEIRモデルに対して、それぞれの疾患や感染症の性質や特徴を検討し、解析を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、副流煙を考慮した個体群動態モデルを基にした肺がんのモデルの細部の検討を行い、論文にまとめる。また、新型コロナウイルス感染症といったコンパートメントモデルを適用できる他の対象を検討し、派生した研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、参加を予定した学会や研究集会が中止やオンラインになり、旅費の支出が減った。今年度は学会や研究集会に発表や情報収集のために参加する。
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