研究課題/領域番号 |
19K19429
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
山口 崇幸 滋賀大学, データサイエンス学系, 助教 (90748964)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 肺がん / コンパートメントモデル / 最尤推定 / 新型コロナウイルス感染症 / 結核 |
研究実績の概要 |
人口、死亡数、肺がんの罹患数と死亡数、喫煙率の男女別のデータを2018年までのデータに更新し、喫煙率を考慮した微分方程式による肺がんのコンパートメントモデルのパラメータを推定し、第40回日本呼吸器外科学会学術集会で報告した。この推定から将来の肺がん罹患数と死亡数を予測した。肺がん罹患数の予測は、肺がん手術施設の集約の検討などに利用することができる。派生した研究として、モデルのコンパートメント間の遷移レートとしてスプライン関数を用いて罰則付き最尤法でパラメータを推定する方法を検討した。罰則の重みを表すパラメータはクロスバリデーションで決め、推定したパラメータやモデルの値の信頼区間についてはブートストラップ法により求める。スプライン関数を使用しているため、さまざまなデータに適合することができる。また、ブートストラップ法による信頼区間の計算は、何度もパラメータ推定する必要があるため、計算時間ががかかってしまうが、マルチコアCPUを活用した並列計算によって現実的な時間で計算を終えることができた。このような手法をいくつかの感染症に対して実装した。差分方程式を用いた新型コロナウイルス感染症のSEIRモデルに対して適用し、実行再生産数を推定した結果については、21世紀の複雑系研究集会において報告した。また、差分方程式によるBCGワクチンを考慮した結核についてのモデルも検討し、パラメータを推定し、BCGワクチンの接種時期の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遷移レートをスプライン関数を使って表したコンパートメントモデルの推定のアルゴリズムは、さまざまなモデルに適用しやすい形で実装済みである。肺がんだけでなく、結核や梅毒についてのモデルに対して適用を試みており、重要なパラメータを推定し、推定結果を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
遷移レートをスプライン関数を使って表したコンパートメントモデルの推定のアルゴリズムを用いた派生した研究として、結核と梅毒のモデルのパラメータを推定する。結核については、BCGワクチンの最適な接種時期について明らかにする。梅毒については感染者数の推定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、以前に参加を予定した学会や研究集会が中止やオンラインになったため、旅費の支出が減っていた。今年度は情報収集のために学会に参加する。
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