法医学では様々な事案についてその死因を究明することが重要な責務とされている。近年では全国で年間1000例程度の水中死体の法医解剖がなされている。水中死体は解剖所見ならびに諸臓器のプランクトン検査によって溺死と診断される。しかし、死後変化の進行や溺水場所のプランクトンの存在状況によっては溺死の診断根拠となる所見が乏しくなり、診断が困難となる。本研究ではそれらの問題点を解消すべく溺死特異的に発現変動するmRNAとmiRNAを同定し、分子生物学的な指標を用いた新たな溺死診断法の開発を行うことでこれまで診断が困難であった高度腐敗死体やプランクトンの少ない入浴死における溺死診断の実現を目指す。
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