研究課題/領域番号 |
19K19506
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
崎浜 智子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (90735101)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 尿道留置カテーテル関連感染 / 尿道カテーテルライフサイクル概念モデル / ケアバンドル / 尿道留置カテーテル使用基準 / 尿道留置カテーテルのタイムリーな抜去 / 尿道留置カテーテルの閉鎖の維持 / 感染予防 / 感染看護 |
研究実績の概要 |
尿道留置カテーテル関連感染(CAUTI)は、発生頻度の高い医療感染感染症(10‐30%)である。「ケアバンドル」の導入により、CAUTIの多く(約70%)が予防可能であることが明らかにされている。しかしながら、日本の臨床現場においては、包括的なCATUI予防ケアバンドルを導入している施設は少ないようである。そこで、本研究では、CAUTI予防研究の先駆者であるSaint教授を中心にミシガン大学で開発された「尿道留置カテーテルライフサイクル(①挿入時、②挿入中、③抜去後、④再挿入)に準拠した「包括的なCAUTI予防ブログラム(日本版)」の開発と改善戦略を策定することを目的とした。 初年度(2019年度)は、①文献レビュー:CAUTIケアバンドルや支援ツール、改善戦略のなどの示唆を得るため、CAUTIの発生状況、リスク因子、CAUTI予防に関する系統的な文献レビューを実施した。②国際学会参加:研究代表者と研究協力者の2名で、10月2日~6日に米国ワシントンDCで開催されたID Week2019(感染症診療や疫学に関連する国際学会)に参加し、情報収集と関係者とのミーティングを行った。③ミシガン大学視察:10月7日~9日の3日間、CAUTI予防の実際について、病院見学や実地研修、リサーチミーティングへ参加することで多くの知見とアドバイスを得た。 2年目(2020年度)は、CAUTIの発生とケアバンドルの実施状況を明らかにするため、単施設の2病棟の606症例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施し、学術誌へ投稿する段階となっている。 一方、COVID-19 の影響により、エキスパートパネルやデルファイ法によるプログラムの妥当性評価の実施が困難となった。そこで、学術誌への投稿課題もあり、研究期間の1年延長を申請し「科研費補助事業延長承認」(2022年3月まで)を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献レビューや米国ミシガン大学Sait教授を訪問しての病院視察や実施研修によりCAUTI予防ケアバンドルや支援ツール、ならびに改善戦略についての示唆を得ることができた。 患者コホート研究の実施により、一般病棟におけるCAUTI発生状況や尿道カテーテルライフサイクルに基づいたケアバンドルの実施状況を明らかにすることができた。 一方、COVID-19 の影響により、エキスパートパネルやデルファイ法によるプログラムの妥当性評価の実施が困難となっている。またコホート研究論文の学術誌への投稿課題もあり、1年延長し研究課題達成にむけて取り組んでいける状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度(3年目)は、後ろ向きコホート研究により明らかにした、CAUTIの発生状況と「尿道留置カテーテルライフサイクル概念モデル」に準拠したケアバンドルの実施状況及び課題を学術誌へ投稿する予定である(期限6月まで)。 これまでの研究成果から、CAUTI予防プログラム(日本版)案と、支援ツールの開発、改善戦略(案)を策定し、国際的な多職種分野連携チームから組織されたエキスパートパネルを募り、デルファイ法を用いてプログラムなどの妥当性評価を行う予定である(期限12月まで)。COVID-19 パンデミックの影響を考慮し、対面とWebミーテイングやメールなどを積極的に用いたハイブリッドな方法での実施を検討している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19 パンデミックの影響により、エキスパートパネルや海外学会への参加が困難となったため。論文投稿が遅れたため、それにかかる費用の繰り越し分。
|