研究課題/領域番号 |
19K19534
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
粟村 健司 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (80822741)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳血管障害 / 脳卒中 / 嚥下障害 / 摂食嚥下リハビリテーション / 状況特定理論 / 移行 / Transition Theory |
研究実績の概要 |
本研究は,嚥下障害を抱える脳血管障害患者の摂食嚥下リハビリテーションに関する体験やその看護支援を説明するための状況特定理論(Situation Specific Theory:SST)を構築することを目的としている。 2020年度の主な取り組みとしては,既存の中範囲理論であるTransition Theory,関連領域の文献レビュー,これまでの研究者の研究知見を統合することで,「嚥下障害を有する脳卒中患者の移行体験の概念モデル」を検討し作成した。この概念モデルは,脳卒中患者の移行体験の特徴,移行体験に影響を及ぼす要因,移行体験のプロセス指標とアウトカム指標という観点で分析し整理した。脳卒中患者の移行体験の特徴を分析する中で,特徴的な局面があることを整理した。また,脳卒中患者を取り巻いているコミュニティや社会に関する要因は,摂食嚥下リハビリが進捗する時期,また停滞する時期において,リハビリの取り組みやその継続性に影響を及ぼす要因であると考察された。今回作成した概念モデルに関する知見は,2020年度に開催された第1回理論看護研究会で発表を行った。 次年度以降の取り組みとしては,対象者数を拡大させながら調査を進めること,分野に精通する研究者や実践者ら意見交換を実施することにより,概念モデルの精錬を図る。引き続き,脳卒中患者の体験に関する調査を実施するとともに,対象者らの体験を支援する看護方略についても検討することを考えている。看護方略に関する調査については,2021年3月に所属大学の研究倫理委員会の承認を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,医療機関に入院している,嚥下障害を有する脳卒中患者に対するインタビュー調査,脳卒中患者に対する看護実践を行っている看護専門職者にインタビュー調査を実施する予定であった。各調査においては,所属大学での研究倫理審査で承認を得たのち,研究協力施設との調整を進めていたが,新型コロナウイルス感染症による感染拡大の影響により,データ収集を中断せざるを得ない状況であった。以上のことから,当初計画していたデータ収集と分析を進めることが難しく,今年度までの進捗状況として【やや遅れている】と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に作成した概念モデルの内容を精錬するために,患者を対象としたインタビュー調査と,実際に看護実践を行っている看護専門職者へのインタビュー調査を進める。次年度はデータ収集再開に向けて再調整を進めるが,研究協力施設への訪問,対面によるインタビューの実施が難しければ,適宜オンラインでの調査を併用しながら実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により,当初計画していた調査が実施できなかったことが挙げられる。具体的には,研究協力施設への旅費,研究協力者への謝金,インタビューデータの文字起こしに関する費用が少なくなった。今年度の繰越金は,次年度の調査研究や研究協力者への謝金,オンライン調査にかかる環境整備,学会発表等にかかる費用などに使用する予定である。
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