研究課題/領域番号 |
19K19606
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
福田 正道 梅花女子大学, 看護保健学部, 講師 (00781139)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 身体知覚 / 状況認識 / 骨折予防 / 存在のゆらぎ |
研究実績の概要 |
本研究により、すでに明らかとなった骨折予防行動に影響を与えている諸条件を基に構築したPatient Centered Modelを基本とし、多職種がどのような連携を行いながら支援を継続することが、患者のエンパワーメントにつながるのかを、骨転移診療にたずさわっている多職種専門家(看護師、医師、理学療法士、作業療法士)から意見を聴取することによりModelの精錬を行った。 これまでに明らかとなった「身体知覚」、「状況認識」、「特性・能力」の3つの概念に加え、患者自身の「希望・意向」と、日常的に過ごす患者の「生活・環境」が行動選択に大きく影響していることが判明したため、概念図に追加を行った。 また、骨折予防行動が行えるようにするためには、まず周囲の支援として今後の経過予測を含めた医師を中心とする「リスク診断・知識提供支援」と理学療法士を中心とした「動作習得支援」が重要となる。次いで看護師を中心とした知識や行動を生活の中に取り込むことを可能にするための「実践導入支援」、家族や装具・補助具など周囲からの「社会的支援」、さらには制限されることや他者の介入に伴う自己存在の揺らぎに対して「存在のゆらぎの理解」が重要な支援として抽出された。 その他の関わりとして、医師はQOLと制限のバランスを常に意識し、骨折させないアプローチを考えて関わっていることが分かった。また看護師は逸脱動作の把握とその分析に加え、患者の理解度の把握を行っていた。そして、理学療法士は知覚障害から骨異常の早期察知や負担の少ない動作プロセスの特定を行っていた。それらの関わりは非常に専門性が活かされた重要な関わりとなっていた。 一方で、日々の微細な変化などを積極的に多職種同士が情報共有し合うことで、どの職種も患者に対し同じレベルの感度で患者のサインやニーズを適時に受け取れるシステム構築が重要であることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病院施設の感染状況なども鑑みて、骨転移診療に携わる多職種専門家へのインタビューを行うまでに時間を要した。そのために全体的なスケジュールが遅れて進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
多職種専門家の意見を再分析の後、Patient Centered Modelの修正と実際にPatient Centered Programを病院施設でpre-testし、検証していく。その中で実際にプログラムとして実施可能かどうかを検討し、実施においての留意点を明らかにしていく必要がある。また、中心概念に置いている「特性・能力」に関して、内容が多岐にわたることや十分に必要項目が抽出されていないため、患者の能力など具体的な視点を特定していく必要がある。その後、分析データを整理し、報告書の作成を行なっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
病院施設への多職種専門家へのインタビューを行うまでに時間を要してしまったことと、報告書の作成など当初の予定通りに進めることができなかったため、予定していたタイミングでの予算執行ができなかった。
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