他害行為によって隔離となった患者の安楽に向けた看護ケアの定義と実践

2019 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K19607
• 研究機関: 島根県立大学
• 研究代表者: 日野 雅洋 島根県立大学, 看護栄養学部, 助教 (20760482)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: 看護 / 安楽 / 精神科 / 隔離 / 他害行為

研究実績の概要

本研究は、精神科病棟において他害行為を理由として隔離となった患者への看護として、安楽に向けた看護ケアに着目している。他害行為によって隔離となった患者への安楽に向けた看護ケアを解明，定義すると共に、実践事例集を作成することを目的としている。
2019年度は、患者への看護としての安楽やComfortについての文献と共に、精神科急性期病棟や行動制限、特に隔離中の看護についての文献を概観する中で、隔離室のエリアを有する病院・病棟における患者の隔離中の看護ケアの現状把握のための質問紙調査に向けて準備を行っている。先行研究をベースとして、隔離中の看護の実施状況、安楽に向けた看護ケアの実施状況について、独自の質問紙を作成すると共に、修正を加え質問紙の構成を整理していった。これによって、質問紙調査を行う予定である。
隔離中の看護の実施状況としては、本研究で着目している安楽やComfortに向けた看護ケアと共に、食事・水分や個人衛生、排泄援助など、領域を限らず実施されている看護ケアの内容、精神科特有といえる心理的ケアや対人関係に関する看護ケア、向精神薬の服薬援助なども項目に入れ、隔離中の看護ケア実施状況とする。また、安楽に向けた看護ケアの内容としては、安楽は患者が主体的に実感する概念であることを前提として、患者が安楽を実感できることを図った看護ケアを質問紙の項目に構成し、安楽に向けた看護ケア実施状況とする。これらの調査項目と共に、病棟や隔離室エリアの状況についての調査項目を元に質問紙調査を行い、現状把握を行う。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

先行研究をベースとした、隔離中の患者への看護ケアの現状把握の質問紙の構成に時間を要しており、達成度の遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

質問紙調査を実施し、収集したデータの統計解析を行い、隔離中の看護ケアにおける現状を的確に客観的評価を行うこととしている。この調査によって把握できた現状を元に、続いて隔離中の看護ケアの参加観察、参加観察をした看護師へのインタビューを行うことによって、隔離中の患者への安楽に向けた看護ケアを明らかにする。これによって、安楽に向けた看護ケアを定義していく。そして、得られたデータと共に先行文献を活用し、実際の臨床現場での実現可能性を吟味した上で、安楽に向けた看護ケアの実践事例集を作成することとしている。
また、研究計画の変更の可能性として、新型コロナウイルス感染症covid-19の感染動向によっては、参加観察を行うことが難しくなる可能性があり、インタビューのみの実施に変更する可能性がある。

次年度使用額が生じた理由

作成した質問紙を元に、隔離室エリアを有する精神科病院・病棟での調査を行うこととしており、質問紙を現在作成中である。このため、次年度に、質問紙調査を実施することとしており、病院への依頼や質問紙の送付・回収、統計解析による分析での使用を計画している。