DCMの治療において、近年植込型補助人工心臓の装着件数や心臓移植待機者が増加傾向であり、心臓移植待機期間も長期化していることに象徴されるように、DCMを病む人を取り巻く医療は日進月歩である。こうした医療的背景から、ともすると医療中心の看護へ陥る危険性のあるこの分野において、DCMと共に生きる経験における他者との関係や、単にその病いによる症状の出現時からの経験に留まらない奥深い時間を経た経験の成り立ちが明らかになったことは、その人々の経験に根差した看護の重要性が示唆された、という点において、意義あることと言える。
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