本研究課題では、高齢者の生活における意思決定に焦点を当て、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)の実装に向けて専門職がどのような支援を行う必要があるかを検討した。 地域在住高齢者14名を対象に、生活における意思決定プロセスに関するインタビュー調査を実施した。高齢者が「自分の暮らし」を継続する上では、これまでの人生で培ってきた価値や信念を、現在の自分の心身の状態に合った価値観や信念にアップデートし、それを基軸として選択や決定をしていた。さらに、高齢者は周囲の人々との関係性を図りながら選択や決定をしていることが示された。自分を支援してくれる周囲の人々との関係性を大切にして「自分の暮らし」を整えるための選択や決定をしており、高齢者の意思決定が社会的文脈の中で行われることが示された。これらのことから、高齢者が自分らしい生活を継続するためのACPの実践には、高齢者が自分の健康状態や価値・信念、周囲の人々との関係性とバランスを取りながら自分の暮らしを安定させるための選択と決定ができるように支援する必要があることが見出された。これらの研究結果を受け、最終年度である2023年度は英文での論文執筆を行い、投稿に向けた準備を行った。
|