本研究では腱板病変を有する患者を有症候群と無症候群に分け、肩甲骨三次元運動を比較すること、テーピングを用いて肩甲骨運動を修正する介入の効果を検討することを目的とした。腱板断裂患者35名(67肩)を対象とし、この中から有症候群(23肩)と無症候群(15肩)を抽出した。有症候群の多く(83%)において、挙上運動時の痛みは大結節が肩峰を通過した後に生じていた。肩甲骨三次元運動は有症候群と無症候群の間で有意差を認めなかったが、有症候群では挙上60°以降に肩甲骨後傾が大きくなる傾向を示した。また、テーピング後に肩甲骨上方回旋、後傾、内旋角度の増加を認め、約半数の患者に疼痛改善効果を認めた。
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