研究課題/領域番号 |
19K19787
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
高橋 裕介 秋田大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (30823033)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心疾患 / 耳朶血流 / 心肺運動負荷試験 / レーザードップラ血流計 / 足浴 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は心疾患を対象として心肺運動負荷試験(CPX)に耳朶血流(EBF)という新しい指標を取り入れることで,予後や運動療法に関する新しい指標となりうるかどうかを明らかにすることである.さらにEBFを指標としたより効果的かつ簡便な治療法の開発を目指す.2019年度の研究実施計画では EBFとCPX指標や運動機能との関連明らかにすることを目的に,心疾患におけるCPX中のCBFを横断的に調査した.本年度は予定被験者数を上回る62例のデータを収集することができた.その結果,我々の想定通り運動耐容能の低い心疾患患者は運動負荷でEBFが低下することを明らかにした.すなわち,最高酸素摂取量が10ml/min/kg以上の者はEBFが最大運動時時に上昇するのに対し,10ml/min/kgを下回る者は最大運動時に安静時の0.85倍にまで低下した.最高酸素摂取量は心疾患の予後指標であることから,この結果はEBFが心疾患の予後指標となり得ることを示唆する.また,そのメカニズムとしては心拍出量ではまかないきれない骨格筋の血流量確保のために耳朶血流を再配分したものと考察した.上記は東北理学療法学術大会の口述発表にて報告した.さらにサブ解析として虚血性心疾患に対象を絞るとEBF低下の程度が少ないことを明らかにし,日本心血管インターベンション学会東北地方会で口述発表にて報告した.疾患特性を加味して解析を行う必要がわかり,現在,症例数を増やしている. また,今年度は来度の研究計画のための予備実験にまで踏み込み,健常者を対象に足浴によるEBF上昇効果について検討できた.その結果,EBF上昇に最適な足浴の条件(温度,水位,時間)について追加の検討が必要であることが分かり,現在追加の測定を進めている.上記の内容についても日本フットケア・足病学会東北地方会の口述発表にて報告している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の研究計画は予定通り遂行し,次年度の研究計画にまで踏み込むことができたことは当初の計画以上に進展している.しかし,その結果,新たに検討が必要な課題が浮き彫りになり,追加の測定が必要となった.計画以上に進展できた余力を追加の測定に充てることができ,おおむね順調な進展であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究計画では前年度の追跡調査を行い,予後および運動療法の効果について明らかにすることとEBF上昇不良に対する非侵襲的治療法(足浴)を模索することを予定していた.前者については計画通り進めていく.後者については上記に加え,効果的な足浴の条件(温度,水位,時間)についての検討を追加している.特に当初の研究計画では水位について考慮されておらず,適切な水位(外踝または下腿中央)を明らかにしたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に行った予備実験の結果,EBFを上昇させるために最適な足浴の条件を追加で検討する必要が生じた.温度,水位,時間の3条件のうち,水位について検討するためには異なる大きさの足浴桶が必要であり,次年度使用額で購入する予定である.
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