研究課題/領域番号 |
19K19852
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
飯田 有輝 藤田医科大学, 医学部, 客員講師 (80808741)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オートファジー / 末梢血単核細胞 / ICU-acquired weakness / 人工呼吸患者 |
研究実績の概要 |
48時間以上の人工呼吸管理を要した集中治療室の重症患者を対象に、末梢血単核細胞上におけるオートファジーの活性とICU-AWの発生との関連を調べた。研究の対象は血液採取が可能であった症例16例であった。オートファジーの測定は動脈から末梢血を採取し、DAPGreenオートファジー検出キットを用い、フローサイトメトリーにて単核細胞上の蛍光シグナルを検出した。採血は集中治療室入室後48時間と入室1週間後に行い、採血後は速やかに単核細胞を単離し分析した。単核細胞のうち単球はほとんど検出することができず、主に好中球とリンパ球について解析を行った。 対象者16名のうちICU関連筋力低下であるICU-acquired weakness(ICU-AW)を発生したのは5名であった。ICU-AW発生群と非発生群に分けて群間で比較すると、ICU-AW非合併群13例全例で入室後48時間で強い蛍光シグナルを示しオートファジーの活性を認めたのに対して、ICU-AW発生群では5例中3例でICU入室48時間後より1週後で強い蛍光シグナルを検出した。ICU-AW合併例では有意に重症度が高く、ICUにおけるリハビリテーションの進行は遅延を認めた。ICU入室2週間の栄養管理に差は認めなかった。 これらの結果からICU-AWを引き起こすような重症例では、病態急性期におけるオートファジーの活動が抑制されていた可能性はある。先行研究では、重症患者におけるオートファジー活性は不活性であるという報告があり、今回の結果にはオートファジーの活性が関係していると考えられる。ICU入室1週後、重症例では病態が改善するに従ってオートファジー活動が活性してきたのではないかと思われた。今後急性期の神経筋電気刺激療法による運動刺激がオートファジーの活動に影響するかを検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究実施計画では2020年度で60例の検体検査を行ない、神経筋電気刺激装置の効果を研修する予定であったが、COVID-19感染対策により研究対象者が大幅に制限された。
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今後の研究の推進方策 |
オートファジー活性が神経筋電気刺激療法による骨格筋収縮によって活性するか、オートファジーの活性とICU-AWの発症の関連について検討する。重症患者に対する神経筋電気刺激について安全性は確立されているが、筋自体の収縮が体表面から不明な場合もある。またICU-AWかどうかの判断は患者努力による筋力評価のみでは不明な場合もある。そのため、エコー診断装置を用いた骨格筋収縮の確認および骨格筋の状態について評価を行っていくこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により研究該当者に制限が生じたため研究が進まず、新しく物品を使用することがなく研究成果の発表も滞ったため、今年度は予算が消化できなかった。次年度は感染対策の影響も減り、学会発表、論文執筆の機会が増えるため、学会発表2件、海外雑誌投稿2件を予定しその予算に充てる。
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