高張食塩水をヒトの筋、腱、靭帯などに投与して作成するヒト実験的疼痛モデルは、特定の構造物由来の痛みの強さや広がり、その痛みによって二次的に生じる運動機能変化などが評価可能である。患者を対象とした臨床研究では、各患者にみられる病態の不均一性によって、純粋に痛みそのものによる影響を検証することが困難であるが、本モデルではこの問題を克服可能であり、痛みによる筋力抑制に対するアプローチを科学的に検証できたことに意義があり、場所を問わず簡便に応用できる点で、非常に有用である。運動イメージによる長期的な効果については今後の検討課題であるが、AMIに対する新規治療戦略の手がかりになると期待している。
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