研究課題/領域番号 |
19K19891
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研究機関 | 健康科学大学 |
研究代表者 |
駒形 純也 健康科学大学, 健康科学部, 助教 (20712798)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳卒中患者 / 姿勢 / 歩行 / 拡張現実刺激 |
研究実績の概要 |
本研究は、身体バランスの不安定な脳卒中患者に対して光学透過型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた刺激を行い、歩行に与える影響を定量的に解析し、歩行能力向上のための拡張現実 (AR)を用いた新たな治療方法(ARシステム)を開発することを目的としている。脳卒中患者の歩行能力低下の原因として、麻痺側の立脚時間が短く、下肢荷重量が低いことが挙げられる。そこで、AR刺激が脳卒中患者の歩行時麻痺側荷重量を増大させ、歩行能力向上に有効であるか明らかにする。これまでの結果からAR刺激により静止立位時に刺激方向への重心が移動すること、歩行時に刺激側の立脚時間、荷重量が増大することを確認した。しかしながら、被験者により反応に大きな差が生じているため、再度AR刺激強度について検討を行い、実験環境や刺激速度の調整等を行った。その後、静止立位姿勢においてAR刺激が重心移動だけではなく、筋活動に影響を与えるか検討を行った。AR刺激中の刺激側の大腿四頭筋、大腿二頭筋、前脛骨筋、腓腹筋の筋活動を測定した。AR刺激により、刺激方向への重心移動に加えて、刺激側の大腿四頭筋、前脛骨筋の平均筋活動が水平方向、回旋方向刺激時に増加することが明らかになった。一方で、下肢後面の大腿二頭筋、腓腹筋において明らかな変化を認めなかった。これらの結果から、AR刺激は脳卒中患者の筋活動にも影響を与え、歩行を含めた様々な動作練習に応用できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
刺激強度の見直しが必要となってしまったために遅れが生じている。また、新型コロナウイルス感染拡大により測定を継続的に実施することができず、健常者および脳卒中患者ともに被験者数が想定を下回り、当初の計画から遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
新たな刺激強度のARシステムを用いて歩行計測を実施していく。また、歩行周期や荷重量の変化だけではなく、歩行時の筋活動に与える影響についても検討を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一部の学会がオンライン開催となり旅費の支出が少なかったために次年度使用額が生じた。加えて、研究進行がやや遅れているため、消耗品や謝金等支出が予定より少なかったことが次年度使用額が生じた理由である。次年度使用額は、研究参加者への謝金や成果報告等に使用する予定である。
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