研究課題/領域番号 |
19K19927
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
佐々木 賢太郎 金城大学, 医療健康学部, 教授 (90512476)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | つまずき / 地域在住高齢者 / nMTC |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,歩行遊脚肢を能動的に挙上させることで「つまずき」による転倒を回避するnMTC gait cycle(nMTC)の出現頻度と転倒の発生率の関連性を明らかにすることである. 前年度にすでにベースラインの計測を終えており,前年度から行っている携帯端末を使った計測者への転倒調査を毎月を行った.転倒頻度は最も多い月で5回,最も少ない月は0回であった.典型的な歩行中の「つまずき」による転倒は少なく,環境的な外的因子による転倒が多かった.また,聞き取り調査の内容から,転倒の多くは「屋外」で発生していることが多く,フォローアップの計測では靴を装着した条件を追加計測することとした.ベースライン計測の開始から1年後の9月からフォローアップの計測を開始した.計測条件は前年度に実施した通常歩行(ST),発語課題(verb),引算課題(sub),早期課題(rec)の裸足4条件とする群と,STとrecの2条件を裸足と靴装着の2条件,計4条件を行う群にランダムに分けて実施した.また,新型コロナウイルス感染症のため自宅生活を強いられたことによる体力低下を危惧する地域高齢者から希望があり,新たな参加者の計測も行った.今年度の参加者数が予想よりも多く見込まれたことから,前倒し支払い請求を申請した.しかし,1月から関係者以外の所属機関への立入を制限したことに合わせて,本計測を1月から2月中旬まで中断した.さらに,感染状況が落ち着かないことを理由に,フォローアップの計測を辞退する参加者も出てきた.2月下旬から計測を再開し,4月で計測を終了した.最終的な参加者数は114人で,ベースライン計測の参加者は106人,そのうちフォローアップ計測が行えたのは72人であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究参加者のリクルート,計測の実施については順調に行うことができた.しかし,nMTCの分類,判定に時間を要しており,学会発表,論文化を行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
対象者の計測,得られたデータの抽出はすべて完了している.近赤外分光法から得られた歩行中の前頭部血流量のデータについてはすでに処理が終わり,解析を行う段階にある.しかし,3次元動作解析装置から得られた歩行中のデータについては,nMTCのパターンが予想した以上に多様であり,当初予定していたプログラムに落とし込んで判定することが困難となった.試行を繰り返したが,妥当な判定は難しいと判断し,最終的にnMTCのパターンを視覚的に分類することとした.現在,完成させたパターン分類に基づいて2人の評価者で判定を行い,信頼性チェックを行っている段階である.今後は研究代表者の研究室に所属する大学院生,修了生に協力を依頼し,nMTCの判定における信頼性チェックを加速させていく.nMTCの分類,判定に信頼性が担保されていることを確認できたところで,今年度中にベースラインデータについて解析し,学会発表,論文化を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として,今年度に予定した学会への参加を行わなかったことが挙げられる.また,今年度の計測参加者が想定した数より多く見込まれたため,12月に前倒し支払い請求を行ったが,感染症の影響で翌年1月から計測を中断したこと,さらに感染状況が落ち着かないことを理由に計測を辞退する参加者が出てきたことにより,前倒し支払い請求費用を使用しなかったことが理由である.次年度は,当初想定していなかったデータ処理(nMTCの判定)の実施に伴う人件費・謝金に使用する予定である.
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