研究課題/領域番号 |
19K19970
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
樽味 孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (40825858)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脳機能 / 循環機能 / 運動生理学 / 認知症 / 予防医学 / 加齢 |
研究成果の概要 |
認知症の予防法構築は、超高齢社会を迎えた本邦において重要な課題である。本研究では、中高齢者の脳機能に対する運動の効果を検証し、さらにそのメカニズムを明らかにするために脳循環の役割を調べた。我々の研究成果から、定期的な有酸素運動の実践は軽度認知障害者や健常な中年者の脳機能、特に、白質神経線維の構造的統合性を改善することが示された。さらに、一過性抵抗性運動が脳血流と脳脊髄液を含む頭蓋内液全体の循環動態に影響を与えることや、高強度持久性トレーニングが上行大動脈コンプラインスの増大と関連することなどを明らかにした。3年間を通し本研究から20報の査読付き国際論文を発表することができた。
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自由記述の分野 |
健康科学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の意義は主に3つある。第一に、中年期における有酸素運動が脳機能を改善する知見は、より早期から認知症予防に運動が有効であることが示せたので意義が大きい。第二に、運動が白質神経線維統合性を改善する知見は、運動の効果は灰白質だけでなく、白質にも及ぶことを示せた点で学術的意義が大きい。第三に、運動が脳脊髄液の循環動態に影響を与える知見は、新規性が高く学術的意義が大きい。近年の動物研究によると、脳脊髄液は神経細胞から排出された老廃物除去に寄与することが示されている。したがって、我々の研究成果は、運動が脳内の微小環境をきれいに保ち、神経細胞の恒常性維持に貢献する可能性を示唆した。
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