研究課題/領域番号 |
19K20020
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
朝倉 雅史 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (50758117)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 主観的キャリア / 客観的キャリア / スポーツ組織 |
研究実績の概要 |
我が国における体育・スポーツ組織の経営管理者の多くが、スポーツ実践者・指導者を経て経営管理者になっているという、実践現場において慣例化しているキャリア傾向をキャリアトランジションと学習転移の観点から分析するため、本年度は国内の関連研究を取集・検討した。体育・スポーツ科学領域では、本研究の関心事を直接に扱った先行研究はほとんどないものの、スポーツ実践者(あるいは選手/アスリート)、指導者(あるいはコーチ/監督)、経営管理者(あるいは経営者、管理者、マネジャー)を対象とする研究自体は、領域横断的に蓄積されている。また、直接的あるいは間接的には、本研究が主眼を置く、キャリア・トランジションや経験、学習転移を示唆する結果や考察の展開がなされていることが明らかになった。そこで関連するキーワードから、網羅的に文献を渉猟し、先行研究における目的や発見事実、議論の内容を踏まえて検討を加えた。その結果、役割や職の変化を客観的に捉えようとする研究とそこで生じている内的な変化を捉えようとする主観的認識にアプローチしようとする研究に大別することができた。また、キャリアトランジションは本人の意思のみならず、社会的な相互作用の中で生じるため、経験と学びが生じる文脈への着目が必要であることが示唆された。その点では、キャリアトランジションがどのような組織の中で生じているかに着目する必要がある。今後の研究課題は以下の3つである。一つ目は、海外文献レビューを行うこと、二つ目は古くから蓄積が進んでいるキャリア概念と学習(転移)概念の動向を整理すること、三つめは、以上を踏まえて「トランジションを生じさせる要因とプロセスの段階」および「正と負の学習転移を生じさせる経験的要因」を捉える枠組みを構築することである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は文献の収集と検討を行い、国内における先行研究の状況を把握することができた。また、国内文献を集める過程で、海外の研究についても情報を収集することができた。理論枠組みの構築についても知見を得ることができたため、おおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は現時点での先行研究の到達点を踏まえた上で、本研究の方法を明確化するとともに主要概念をどのように分析していくかを検討する。本年度の研究成果を踏まえると、演繹的な方法をとるよりも、帰納的にキャリアと学習転移にアプローチしていくことが適切と考えられるため、次年度以降の実証研究に向けて、引き続き先行研究の検討を続けるとともに、調査票作成のためのヒアリング調査を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
文献の収集に関わる支出に残金が生じた。次年度も継続的に先行研究の検討を行うため、図書の購入または文献複写等で使用する。
|