研究課題/領域番号 |
19K20020
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
朝倉 雅史 筑波大学, 人間系, 特任助教 (50758117)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マネジメント行動 / コミュニティ意識 |
研究実績の概要 |
本年度は、スポーツ組織のマネジメントにたずさわる人材のうち総合型地域スポーツクラブのマネジャーに着目してマネジメント行動の構造と規定要因を明らかにする分析を試みた。具体的には関東甲信越地方の567の総合型地域スポーツクラブにおいて、クラブ運営の中心的役割を担っている人物328名分の質問紙調査票をもとにクラスター分析と主成分分析によるマネジメント行動次元の抽出を行い、さらにその規定要因として地域生活に関わる役職経験とスポーツに関するキャリア(競技力やスポーツ関連団体での役職経験など)、地域におけるコミュニティ意識の影響を分析した。一般的なマネジメント行動および総合型地域スポーツクラブのマネジャーを対象に行われてきた先行研究と重なる7つの行動次元(マネジメントサイクル、組織運営、情報の収集と共有、長期的展望、事務関係、施設運営、スポーツサービス、学校との関係構築、行政・多団体との関係構築)を析出した。それらの行動頻度の高さがスポーツキャリアないし地域生活におけるキャリア、コミュニティ意識によって異なるかを重回帰分析によって検討した結果、。勤務形態(常勤・非常勤など)やマネジメント資格がマネジメント行動に対して全体的に影響を与えていたものの、多くのクラブが大きな課題として掲げている学校や行政、その他既存団体との関係構築に関わる行動は、学校部活動経験や地域コミュニティ意識に規定されていることが明らかになった。スポーツ実践者から経営者への学習転移を主題とする本研究課題にとっては、特に地域スポーツクラブのマネジャーが地域で生活してきた経験とそこで醸成される意識がマネジメント行動と密接に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は総合型地域スポーツクラブのマネジャーを対象とした実証研究を行ったため、具体的な研究成果をあげることができたが、他の学校体育領域や民間スポーツ領域などのスポーツ経営者を対象としたヒアリング調査が実施できていないため、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、スポーツ実践者から経営者への学習転移プロセスを検討するために学校体育領域では保健体育科出身の現職校長、地域スポーツクラブのマネジャー、民間スポーツ団体の代表者へのヒアリング調査を実施する。質問紙調査票の作成までを構想しているが、進捗によっては、質的データの分析法を用いて、学習転移過程の精緻な仮説構成を目指すこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大により、ヒアリング調査および海外学会における成果発表ができておらず旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じた。翌年度は、感染症拡大状況を踏まえて随時、調査および国際学会における成果発表を行う。
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