研究課題/領域番号 |
19K20021
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
小山 桂史 桐蔭横浜大学, スポーツ健康政策学部, 准教授 (70637090)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 足部 / 足指把持筋力 / 力発揮増幅機能 / アーチ動態 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ドロップジャンプ中の足部アーチ動態を3次元動作分析法で定量する方法を確立して、足部アーチの機能性を下肢関節動作、地面反力との連動性から評価することである。さらにドロップジャンプにおける足部保護装具による即時的な足部アーチ制限の影響や、ドロップジャンプの継続的なトレーニングによる足部アーチ機能への効果について検証する。 当該年度では、足部力発揮の一つのメカニズムの解明を実施した。足指把持筋力は座位時よりも立位時で高くなり、足部に体重が負荷されてアーチが沈むことで足部の力発揮が増幅することが明らかとなった(Yamauchi and Koyama, 2019a)。そこで足部機能が姿勢制御能力に及ぼす影響を検討した。その結果、足指把持筋力や足部アーチといったいずれの足部機能も立位時の姿勢制御能力とは関係が見られなかった(Yamauchi and Koyama, 2019b)。次に、足部機能と跳躍能力を検討した。その結果、足指把持筋力は跳躍高と有意な相関関係を示し、足部の力発揮能力が高い者は跳躍能力も高いことが明らかとなった(Yamauchi and Koyama, 2020)。これらの結果から、足部機能は受動的な運動よりも能動的な運動で発揮されることが解った。また当該年度では、トレーニングによる足部機能の発達を調査した。裸足でトレーニングを実施する者はそうでないものと比べると、立位時の足指把持筋力が高く、アーチの動態も大きいことが明らかとなった(Koyama et al. 2019)。 今後は、本研究課題でもある足部アーチ動態を3次元動作分析法で定量する方法を確立して、足部アーチの機能性を下肢関節動作、地面反力との連動性から評価することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題を解決すべく、4つの研究テーマがある。それらは1)3次元動作分析法で定量する方法を確立すること、2)足部アーチの機能性を下肢関節動作、地面反力との連動性から評価すること、3)足部保護装具による即時的な足部制限が跳躍機能に及ぼす影響を検討すること、4)ドロップジャンプを含むトレーニングが足部機能に及ぼす効果を検討することである。現在までに、足部の力発揮のメカニズムを一つ解明することが出来た。それは足部に体重による負荷が作用することで、アーチが沈み、足部内の筋腱が伸長されて力発揮が増幅することである。また4)も一部、明らかにすることが出来た。それは、裸足でトレーニングを実施する者はそうでない者と比べると、立位時の足指把持筋力が高く、アーチの動態が大きい。このことは足部のトレーニングが足部機能を改善する可能性を示唆する。当該年度では、これらの研究成果をいくつかの国際学術誌に掲載することが出来た。 今後は当該年度で明らかとなった現象がなぜ起きるのかについて、動作中のアーチ動態を評価することで検討する予定である。現在、身体運動中の3次元動作分析法で定量する方法を確立がされた状況である。ドロップジャンプ中の足部アーチ動態を明らかにして、足部機能の詳細を明からにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度では、足部機能には体重負荷する運動では足部アーチが下がり、足部の力発揮が増幅することが解った。その力発揮機能は静的運動である立位時の姿勢制御能力とは直接、関係は見られなかった。一方で、足指把持筋力と跳躍高や跳躍時の力発揮のパラメータとの関係性を検討した。その結果、足指把持筋力と跳躍高との間に関係が見られ、足部の力発揮機能が高い者ほど跳躍高も高くなることが明らかとなった。したがって、足部機能は跳躍運動のような動的運動で重要であるという現象は明らかとなった。またトレーニングによる足部機能の発達を調査した結果、裸足で習慣的にトレーニングを実施する者はそうでないものと比べると、立位時の足指把持筋力が高く、アーチの動態も大きいことが明らかとなった(Koyama et al. 2019)。このことは、裸足のトレーニングが足部機能を改善することを示唆する。しかしながら、これらの現象が起こるメカニズムは不明である。例えば、ドロップジャンプでアーチの変形がどの様に生じるのか、アーチの変形と足部の力発揮は連動するかどうか、トレーニングにより神経系の改善は起きたのかどうか、といった詳細なメカニズムを解明する必要がある。当該年度ではドロップジャンプ中の足部アーチ動態を3次元動作分析法で定量する方法を確立するまでにとどまった。この確立した方法で実験データを蓄積して、ドロップジャンプ中の足部機能の役割の解明を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 今年度は学会で発表する機会よりも学術誌に投稿する機会が多く、当初の予定よりも旅費を使用することなく、研究を進めることが出来た。また消耗品や新しい実験機器の購入を少なくして実験を進めることが出来た。そのため、物品費とその他の予算を予定よりも使用しなかった。 (使用計画) 当該年度では国内外の情報を収集することについてはやや消極的な活動であったかもしれない。そのため、次年度以降では国内外の学会に参加して、情報収集を実施していきたい。また現象の解明からメカニズムの解明を実施すべく、赤外線カメラの補充や実験施設の環境整備が必要となる。当該年度で使用しなかった経費はこれらの部分に使用する予定である。
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