体罰の容認的態度を引き起こす要因として、これまでは体罰という行為そのものやその結果への認知のみが扱われてきた。しかし本研究で扱った「被害者への認知」が損なわれた場合、たとえ体罰が悪いと認識していたとしても体罰を容認する可能性がある。本研究の結果から被害者への認知のうち、運動部員への非人間化によって体罰を容認する危険性が示唆できたことは、社会的意義があると言えよう。特にこれらは部員の態度や行動などから容易に変わりうる可能性も見られる。今後はこの結果を元に、部活動指導者に対して運動部員に対する認知枠組みを改善する教育プログラムなどが提案されうる。
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