右足踵部痛は,剣道における代表的な傷害の一つである.本研究は,大学剣道選手の右足踵部痛の傷害経験の有無により対象群を設定し,踏み込みの動作と地面反力,踏み込み時の音の違いについて比較,検討した.その結果,踵を痛めた経験がない選手は,その経験を有する選手に比べ,踏み込みの力が強いにも関わらず,踵を痛めない動作を獲得していた.その特徴は,踏み込み直前に膝関節が屈曲し,膝よりも踵が後方に位置していた.さらに,踵痛未経験者の踏み込み音は高く大きな音であり,踏み込みの音は,右足踵部痛の改善に向けたフォーム修正へのアプローチに活用し得る可能性が示された.
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