研究課題
若手研究
制約付き多目的最適化問題の進化計算による解法において,探索中の解集団からより多くの情報を引き出して利用することによって解探索性能を高めるため,本研究では制約条件を充足した場合の制約を違反するまでの余裕を新たに制約許容量として評価し活用する方法について検討した.ここでは制約の境界に最適解が存在する問題に注目し,探索中の解集団から各制約の違反量と許容量とのバランスを考慮し制約境界に子(解)を生成しやすくするための交配解ペアの選択法を提案してその有効性を検証した.
進化計算
これまでの進化計算では,解探索中に生成された制約違反解は最終的に解として認められないため,制約充足解よりも解探索に用いられにくい.しかし,現実世界の多目的最適化問題では制約条件が多数設定されることが多く,また,制約境界に近づくほど目的が最適化される傾向があるため,解探索中には多数の制約違反解が生成される.そのため,制約違反解の活用による解探索の効率化は実応用に向けて重要な検討である.また,本研究で提案する制約許容量は制約違反解の活用手段をさらに増やすことが期待される.