2022年11月に甲状腺がんが見つかり、2023年度は申請者の甲状腺がん治療に専念したため、それほど大きな実績はなかった。 しかしながら、三重県ではなく、宮城県で関係性価値の研究を続行した。特に宮城県においては、カキおよびワカメ養殖業における関係性価値の調査を開始し、1年間かけて養殖業者とのラポール関係を築くとともに、同地区の戸倉地区において実施されているカキとワカメ養殖の養殖管理の実態調査を実施してきた。同地区においては、東日本大震災をきっかけとして、それまで実施されてきた過密養殖を改め、持続可能な形の養殖業を営むようになってきた。その結果として、養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council、以下ASC)の認証を日本で初めて、取得することに成功している。この養殖管理の移行実態を明らかにするとともに、海の生態系との関係性が東日本大震災をきっかけとしてどのように変化してきたのかを明らかにしてきた。 また、さらに修士課程の学生とともに関係性価値の新しい描き方の手法としてQ方法論を利用したものを開発し、試験的に岡山県で実証を試みている。これに関しては2024年度本格的な調査をする予定にしており、いずれはこの結果を論文として発表する予定である。
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