研究課題/領域番号 |
19K20516
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 正 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (40709002)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農業集団化 / 中国共産党 / 農村 / 農村調査 / 社会主義 / 人民公社 |
研究実績の概要 |
本年度は新型コロナウィルスの流行のために、文献調査・フィールドワークともに、海外・国内での調査をおこなうことができなかった。そのため主に本務校の所蔵する史料や既に収集済みの史料を利用した研究をおこなった。特に、閲覧室の利用に不便が生じたため、これまでマイクロフィルムの形で所有していた『河北日報』(1949~1959)の電子化をおこない、研究のための利便性を高めた。 研究成果としては河北省における農業集団化の過程について論じた「河北省における互助組・農業生産合作社組織過程の諸問題―等価・相互利益および遊休労働力を中心に 」が『歴史学研究』第999号に掲載されたほか、オンラインで参加した「第5届「百変民国――戦後中国与東亜変局」青年学者論壇会議」では1950年代中国農村におけるデマに関する発表をおこなった。このほか、人民共和国時期の農村調査に関する史料研究に関する文章が公刊され、一般向けオンラインセミナーでも1950年代農業集団化に関する発表をおこなった。 『歴史学研究』論文は農民の経済観や心性を通じて1950年代の農業集団化の過程について検討したものであり、本研究で中心とする人民公社時期の農民の意識や行動を考えるうえで基礎となるものである。 国際学会での発表は農村で流行したデマを通じて国家と社会との関係を検討するものであり、次年度以降の研究で人民公社の状況と比較検討をおこなう必要がある。このほか、本研究に関する書評も1本公刊された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は海外・国内での調査が全くおこなえなかったほか、当初購入を計画していた1960年代の中国における地方新聞も、中国側の機関が新型コロナウィルスにより営業を停止しているために入手することができなかった。 他方で、査読論文が公刊され、国際学会での発表をおこなったほか、すでに収集済みの史料についても利用を進めることができた。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
依然として海外調査は難しい状況にあるが、国内調査については以前より状況が改善しつつあるように思われる。そのため国立国会図書館関西分館所蔵の「上海新華書店旧蔵書」コレクションなど、国内に所蔵されている史料を中心に、新たな調査を進める予定である。これと並行して収集済みの史料の利用を進めるとともに、可能となれば1960年代の地方新聞の購入をしたい。 これらを通じて人民公社時期に関する研究を前進させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの流行により海外・国内出張を伴う調査を全くおこなえなかったほか、中国側機関の営業停止により、予定していた新聞史料の購入ができなかったため。
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