本年度は新型コロナウイルスをめぐる状況の改善を受けて、アメリカ合衆国国立公文書館(カレッジパーク分館およびニューヨーク分館)へ出張を行い、関連資料の収集を行った。 具体的には、中国の基層社会を従来と異なった視点から捉えることを目的に、アメリカの対中国宣伝を行った機関であるVoice of America(VoA)関連資料の閲覧・収集を行った。本資料については東京大学ヒューマニティーズセンターオープンセミナーにて「アメリカ国立公文書館所蔵資料から見る対中国宣伝」と題した発表を行い、内容の紹介や分析を行っている。このほか、東京大学や東洋文庫など、日本国内でも資料収集を進めたほか、国内外の最新の研究成果についても収集をおこなった。 研究成果の発表として、本年度は『村と権力―中華人民共和国初期、華北農村の村落再編』(晃洋書房)を出版したほか、日本現代中国学会学術大会(「1950 年代河北省における共産党の人材育成と「浸透」」)、国士舘大学21世紀アジア学研究所研究会(「中華人民共和国初期、華北村落における「結びつき」」)、国際ワークショップ(「1950年代華北農村社会与村落結合的変遷」、於:同志社大学)における口頭発表等を通じて1950年代の華北村落の結びつきや社会構造の変容について成果を発表した。 本研究機関全体を通じて、コロナ禍における中断を挟みながら、複数回にわたり中国におけるフィールドワークやアメリカUCLA東アジア図書館・国立公文書館、台湾などで調査を行い、多くの資料を集めた。またコロナ禍においてもオンライン学会などを通じて、口頭発表、学術論文、単著などの形で、国内外で研究成果の発信を行った。
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