研究課題/領域番号 |
19K20525
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
森 朋也 山口大学, 教育学部, 講師 (30757638)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | コモンズ / コミュニティ・フォレストリー / ラオス / 地域コミュニティ / 社会関係資本 / 社会生態システムアプローチ |
研究実績の概要 |
2019年度は、主に、コモンズ研究のサーベイと現地調査で得られたデータを用いた実証研究を行った。サーベイ研究は、既存の研究成果を整理した上で、SES(社会生態システム)アプローチがコモンズ研究分野に与える意味について分析を行った。分析結果については、中央大学経済学研究所の公開研究会で報告した。参加者から有意義なコメントをいただくことができた。この成果については、2020年度に論文として公表する予定である。実証研究については、大きく二つの研究を行った。一つは、ラオスと近隣諸国との資源の流出入に関する実証研究である。分析から、ラオス政府の資源管理政策と現場での管理体制は、他国の資源管理政策に一定程度影響を受けることが明らかになった。このため、ラオスのコモンズ管理を持続可能なものにするためには、近隣諸国との協調が必要であることが示された。これは、Journal of East Asian Identitiesに掲載された(査読付き)。もう一つは、過去に申請者が行ったアンケート調査のデータを用いて、コミュニティ・フォレストリーと社会関係資本の関係性についての定量分析を行ったものである。分析から、コモンズであるコミュニティ・フォレストリーの管理において、村落内の社会関係資本が果たす役割が統計上有意に確認できた。こちらは、立命館大学で行われた研究会で報告し、年度末に中央大学経済学研究科の年報へ投稿した。2020年度に掲載予定である。 その他、コモンズと観光との関係についての研究も進めた。マクロデータを用いた定量的な分析と定性的な研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度には、予定していたサーベイ研究を進めることができ、その成果も報告することができた。また、過去に得た研究の知見やデータから、2本の論文を執筆することができた(うち、一本が公表、もう一本は2020年度掲載予定)。この意味においては、予定していた以上に研究を進めることができた。 その一方で、9月に予定していた研究が大学のスタディーツアーの引率のために実施できず、また、3月に予定していた現地調査がCOVID-19の騒動のために実施できなかった。その結果、2020年度と2021年度の研究に必要な現地のデータが収集することができなかった。 以上の点から、現在までの進捗としては「(3)やや遅れている。」という状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に予定していた現地調査が実施できなかったため、再度、現地のカウンターパートと日程を調整して、COVID-19の騒動が落ち着いていれば、9月に現地調査を実施する予定である。そこで集めたデータを基に、2021年度の春の学会で報告することを目標に統計分析を進める予定である。 現地調査のデータを用いた実証研究ができない代わりに、2020年度は、2019年度に行ったサーベイ研究をまとめて、論文として学内の紀要に投稿する予定である。また、現地のカウンターパートから情報を提供してもらい、可能な限りで実証研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年の3月に予定していた学会参加とラオスへの現地調査が COVID-19 の影響で中止となったため、次年度使用額が生じた。この部分は、2020年度に予定している現地調査の日程を延長する、あるいは、必要な文献収集にあてるつもりである。
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