2022年度は、本研究で開発した位相回復アルゴリズムを国内外に広く紹介し、スパースモデリングの普及啓発活動を行った。具体的には、国際会議OPTICS & PHOTONICS International Congress 2022の専門会議であるLSC2022において招待講演を行い、スパースモデリングに基づく位相回復アルゴリズムとその有効性を国内外の研究者に紹介した。また、スパース性を事前情報として取り入れる方法についての解説記事を執筆し、日本結晶学会誌に掲載した。 さらに、本研究で開発したスパースモデリングの技術を、関連手法であるブラッグ回折を用いたコヒーレント回折イメージング(Bragg-CDI)に適用した。TV正則化をノイズ処理に活用することで、実データに含まれるノイズを大幅に除去することに成功し、位相回復結果にも劇的な改善が見られた。 研究期間全体を通じて、磁気テクスチャーの時空間分割計測を実現させるための計測手法と解析手法の開発を行った。計測手法については、X線自由電子レーザーSACLAを用いたシングルショットのイメージングに成功した。しかし、その後の時空間分割計測への展開は、新型コロナウイルスの影響により実現できなかった。一方、解析手法については、代表的な磁気テクスチャーである磁区のスパース性を活用した位相回復アルゴリズムを新たに開発した。本手法についてまとめた論文を執筆し、日本物理学会の論文誌JPSJから出版した。同時にプレス発表を行い、日刊工業新聞の2022年2月7日版やOPTRONICS ONLINE等に掲載された。その他にも、学会発表や解説記事等を通じて、国内外へ研究成果の発信を行った。
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