ALS患者の嚥下障害は急速に進行するため,早期からの対応が必要であるが,モニタリングのため頻回に行うことのできる確立された定量的検査はほとんどない.舌圧検査は舌機能を定量評価でき,侵襲の少ない検査法だが,ALS患者の嚥下機能との関連の報告は少ない.近年ALS患者の嚥下および構音障害に対して舌接触補助床(PAP)を用いた治療が行われているが,ALS患者に対するPAP適用の報告は少なく,PAP装着と経口摂取期間の関連や,その終了基準は明らかになっていない. 本研究では,ALS患者を長期に追跡し,最大舌圧と経口摂取状況の変化の関連を調べ,さらにPAPの有効性とその終了基準について考察した.
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