研究課題/領域番号 |
19K20758
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補助金の研究課題番号 |
17H06773 (2017-2018)
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 (2019) 補助金 (2017-2018) |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
櫻田 智恵 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任研究員 (90808304)
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研究期間 (年度) |
2017-08-25 – 2021-03-31
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キーワード | タイ / 君主制 / 東南アジア / 王妃 / イメージ戦略 / 女官 / ネットワーク |
研究成果の概要 |
本研究では、前タイ国王プーミポンの権威形成において、王妃とその女官が果たした役割を2つの面から明らかにした。 ①イメージ戦略においては、王妃に焦点が当たるのは、1960年代の外国訪問以降においてである。さらに、1980年代以降になると王妃単独の行啓も増加する上、国王との行幸啓の場合も別行動を取るなどし、「国母」という語りを強化した。 ②人的ネットワークでは、王妃が直接リクルートした若い女官が参内するようになるのは、1970年代半ばころからであったことが明らかになった。この若い女官らは、それ以前の女官らに比べ、新興財閥や軍幹部の子息などと婚姻関係を結ぶことが多く、結婚後も再任官される傾向にある。
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自由記述の分野 |
地域研究(タイ)
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
王妃や女官といった女性の役割は、タイが上座部仏教の価値観を大きく反映しているがゆえに看過されてきた。また、タイ君主制の維持・強化には人的ネットワークが重要な役割を果たしているにも関わらず、先行研究ではその実態が不明であった。本研究は、宮中の女性という新しい観点を取り入れることで、タイの君主制を支える人的ネットワークの実態を解明でき、タイ地域研究に大きく寄与した。 現在タイでは、王位継承権を持つ男子が少ない。そのため女性王族の公務負担は大きく、女性の王位継承が盛んに議論されてきた。女性皇族の扱いについて議論が活発化しつつある日本に対しても、女性王族の意義を議論する本研究は、有益な知見を提供しうる。
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