本研究では、1)ジルコン中の濃度がマグマの酸化還元状態の指標となり得るとされているセリウム(Ce)の含水マグマ中での振舞いと、2)ジルコンの晶出がマグマの組成に依存するメカニズムについて、マグマの構造分析の手法からアプローチした。結果として、1)含水マグマ中におけるCeは酸化還元状態だけでなくマグマ構造中の水素との反応によっても価数変化を起こす可能性があり、ジルコン中のCeをマグマの酸化還元状態の指標として用いるには慎重な議論が必要であることが判った。また、2)ジルコン晶出のマグマ組成依存性は、マグマのネットワーク構造の重合度の変化が本質的なメカニズムとなっている可能性があることが判った。
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