運動性細菌は化合物を感知して集積・逃避する走化性という性質をもつ。ホウ酸を感知するセンサーは植物病原菌にのみ保存されており、ホウ酸走化性は植物感染に重要と予想された。本研究では、既に同定済みの青枯病菌のホウ酸センサーの情報をもとに、タバコ野火病菌と軟腐病原菌のホウ酸走化性センサーをそれぞれ特定した。タバコ野火病菌を用いた植物接種試験では、野生株とホウ酸走化性欠損株の感染力に有意な差を見出すことはできなかったが、特定した軟腐病原菌のセンサーは既に植物体内への侵入に寄与すると報告されているものであった。このことから、少なくとも軟腐病原菌ではホウ酸走化性は植物感染に重要であることが強く示唆された。
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