転写メディエーター (Med)はRNAポリメラーゼ IIのC末端領域(Pol II CTD)を介してプロモーターに結合し、そのCTDをTFIIHキナーゼに提示することで転写を誘起する。本研究では転写開始時に起こるMedの構造変換を再現するためにMedとCTDを融合させた複合体を作成し、X線小角散乱解析を行った。その結果、リン酸化によってMedがCTDから外れる瞬間を可視化することができた。また、Pol IIの精製系とTFIIHキナーゼの発現系を樹立し、MedがPol IIのリン酸化に与える影響を評価したところ、リコンビナントに調製したMedでもリン酸化効率を10倍程度上昇させることが示された。
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