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2019 年度 実施状況報告書

ALK1下流遺伝子TMEM100の新規転写制御機構と血管形態形成における意義

研究課題

研究課題/領域番号 19K21249
配分区分基金
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

劉 孟佳  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (50826922)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワード血管内皮細胞 / Tmem100 / ALK1シグナル / 転写制御機構 / 血管新生 / 新生仔網膜
研究実績の概要

Tmem100は所属研究室にてALK1シグナルの新規下流遺伝子として同定された。Alk1受容体はマウス胎仔の動脈血管に広範囲に発現する一方でTmem100は中・大動脈に限定的な様式を示すことから、Tmem100発現制御機構には不明の点が多い。また、Tmem100の欠損マウスは血管形成異常を示して胎生致死となるが、その分子機能は解明されていない。
先行研究にてマウスTmem100遺伝子領域を含むゲノムDNAのBACクローンを用いたLacZレポーター解析を行い、Tmem100内皮エンハンサーを同定した。同定した内皮エンハンサーの欠損によってマウス胎仔のTmem100 mRNA発現が低下すること、ヒトゲノム相同領域が同様の活性を有することを確認した。さらに、エンハンサー制御に働く内皮転写因子を同定し、その転写因子の欠損マウスでTmem100 mRNA発現低下が生じることを示した。
Tmem100の誘導型内皮特異的欠損マウス(iECKO)を用い新生仔網膜血管の表現型を解析した。Tmem100 iECKOでは血管新生の遅延は見られたものの、その典型的な要因として知られるTip-stalk cell分化の異常に有意差は認められなかった。一方で、動脈を構成する内皮細胞の形態異常が確認された。Tmem100の役割をさらに検討するため、Tmem100との相互作用を示す因子の同定を試みた。エピトープタグ融合型Tmem100発現マウスを作製し、抗タグ抗体によって共沈されたタンパク質の質量分析を行ったところ、内皮細胞分化や血管発生に重要な細胞形態制御因子が同定された。現在これらの因子とTmem100の相互作用を検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題1において、内皮エンハンサー欠損によってTmem100発現が有意に低下し、当エンハンサーがTmem100の内皮特異的発現に必須であることが示された。またエンハンサー欠損による発現低下がノックアウトマウスと同様の血管リモデリング異常を引き起こすことも明らかになった。またエンハンサー活性を制御する転写因子の重要性をin vitro/ in vivoの両者において確認しえたことから、課題1の目標であったTmem100の新規転写制御機構の解明に成功したと考える。
課題2では、新生仔網膜を用いたTmem100 iECKO表現型解析から動脈内皮細胞の形態制御に異常あることを示した。この結果は、Tmem100ノックアウト胎仔の血管リモデリングにおいて内皮細胞の形態制御が正常に起こっていない可能性を示唆しているが、さらなる証明が必要であり、現在相互作用因子の同定を試みている。

今後の研究の推進方策

課題1ではTmem100の新しい転写制御機構を解明したため、論文発表を目指す。
課題2はTmem100相互作用因子を探索するため、質量分析解析によって得られた候補分子について検証するため、共免疫沈降や細胞内局在観察を行う。さらに、Tmem100と候補因子の相互作用がもたらす細胞機能を評価するため、内皮細胞培養系で各種アッセイを行う。これらによりTmem100の血管形成における分子機能を解明する。

次年度使用額が生じた理由

研究所移転に伴いマウス系統維持の一時中断が必要であることは想定していたが、移転先動物施設の立ち上げの遅延に加え交配効率および哺育効率の低下が数か月続いた。これらの理由から、解析用マウス数の確保に想定以上の期間を要して実験使用開始の遅延を余儀なくされ、次年度使用額が生じた。使用目的は、細胞生物学・組織学実験用試薬などの物品費を計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 胎生期血管内皮遺伝子Tmem100の転写制御機構と血管形成における意義2019

    • 著者名/発表者名
      劉 孟佳
    • 学会等名
      第27回日本血管生物医学会

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公開日: 2021-01-27  

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