本研究では口腔扁平上皮癌(OSCC)の癌幹細胞の特性分子を明らかにすることを目的に、まずはiPS 細胞作製に用いるリプログラミング技術によってOSCC 細胞の分化段階を巻き戻し、癌幹細胞様の細胞の作出を行った。歯肉癌、舌癌、口底癌由来の3株は、リプログラミング直後に癌幹細胞マーカーであるCD133やALDH1等の一過性発現上昇が認められたが、この細胞集団を解析するのに十分な期間、培養することが不可能であった。この問題を解決するため、リプログラミング口腔癌細胞株中のTra-1-60陽性細胞を分取して継続培養することで、リプログラミング直後の性質を保持したまま、長期間培養する手法を確立した。
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