研究成果の概要 |
私たちは超音波検査を用いて、さまざまな神経疾患における内皮機能障害の頻度や病態との関連を解析してきた。特に、中枢神経の自己免疫性疾患である多発性硬化症(MS)においては、対照群と比較して血管機能が高率に障害されていること、さらに血管内皮機能とMSの重症度であるEDSSとの間に相関があることを世界で初めて見いだした(Senzaki et al, Mult Scler Relat Disord, 2021)。多発性硬化症においては、以前から心血管合併症のリスクが高いことや、血管反応性(CVR)が低下していることが知られており、我々の結果はそれを裏付けるものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
私たちは超音波検査を用いて、さまざまな神経疾患における内皮機能障害の頻度や病態との関連を解析してきた。特に、中枢神経の自己免疫性疾患である多発性硬化症(MS)において、血管機能が高率に障害されていること、さらに血管内皮機能とMSの重症度との間に関連があることを世界で初めて見いだした(Senzaki et al, Mult Scler Relat Disord, 2021)。近年、MSの再発抑制に貢献する多数の疾患修飾薬が上市されているが、病態の慢性進行(二次進行型)に対する有効な治療薬はほぼない。したがって、血管内皮機能の改善はMSの慢性進行病態に対する治療戦略となる可能性がある。
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