研究課題/領域番号 |
18H06350
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
河田 萌生 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (30826194)
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研究期間 (年度) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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キーワード | 食支援 / 高齢者 / 概念分析 |
研究実績の概要 |
本年度において下記方法により、「高齢者における食支援」に関する概念分析を行った。【方法】Rodgers(2000)の概念分析の手法を用いた。 【文献検索方法】「食支援」と同等の意味内容を含む英単語は特定されなかったため、日本語文献のみを検索対象とした。検索データベースは、「医中誌web」、「CiNii」を用いた。検索式は「(高齢者/TH or高齢者/AL)and 食支援/AL」とし、出版年、論文種類は限定しなかった。検索後、150文献が分析対象文献となった。Rodgers(2000)によると全文献のうち20%以上を分析対象とすることが推奨されているため、37文献を本分析の対象とした。選定方法は乱数表を用い、150文献に含まれた学問分野の種類、割合と同等となるように選定した。データ抽出は、1)先行要件、2)属性、3)帰結、4)周辺用語、関連用語で構成されたレビューマトリックス表に該当する記述を各文献から抽出し、サブカテゴリ―、カテゴリーを生成した。 【結果】本概念を扱っている学問分野の割合は、歯学(46%)、看護学(16%)、医学(15.3%)、栄養学(13%)、リハビリテーション学(4%)、介護・福祉(3%)、その他(2%)であった。先行要件は、一次要件として「要介護、要支援の高リスク」、二次要件として「摂食嚥下困難」、「栄養バランス不良」、「家族による経口摂取の要望」が抽出された。属性は、「多職種チームアプローチ」、「高齢者と家族との協働」、「包括的な食生活の支援」、「最期まで経口摂取の喜びを支える」、「地域構築」であった。帰結は、「経口摂取の喜びと満足感の獲得」、「高齢者と家族のQOLの改善」、「在宅生活の継続」、「地域の経口摂取を支えるシステムの構築」が抽出された。 【意義・重要性】本分析によりこれま不明であった「高齢者における食支援」の構成要素が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、本研究結果から「食支援を受ける摂食嚥下機能障害高齢者のQOL評価尺度」作成に向けた、インタビューガイドの作成、インタビューの実施と項目プールを生成する予定であった。
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今後の研究の推進方策 |
本概念分析の結果から、「高齢者の食支援」は要介護、要支援の高リスクにある高齢者が住み慣れた地域で、本人および家族が食生活に関するQOLを維持しながら生活し続けることを最終目標とする支援であることが明らかとなった。よって、要介護、要支援の高リスクにある高齢者、すなわち通所介護や一時的な入所介護を利用しながら地域で生活する高齢者への食支援に携わる関係職種、および食支援そのものの場面の参与観察を行い、食支援を受ける高齢者のQOLの構成要素を明らかにすることを今後の研究の推進方策とする。
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