本研究は、産後1ヶ月~12ヶ月の母親の血中および唾液中OTレベルの動態を明らかにした研究であり、得られた結果は、いまだ数少ない基礎データとして、エビデンスの一助となる事が期待される。また、より侵襲性の低い唾液サンプルを用いて、授乳時の生理活性に伴うOTの変動を捉える事が出来たことにより、今後、医療行為を必要としないバイオマーカーとしての応用の発展に寄与できる可能性がある。また、今回、授乳時のOTレベルの上昇と、母親の産後うつ症状や不安との関連が示唆されたことから、これまで主流であった主観的評価に加え、客観的な生理指標として、母親のメンタルヘルスのスクリーニングへの応用が期待される。
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