研究課題/領域番号 |
19K21662
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
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研究分担者 |
藤本 武 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (20351190)
山本 宗立 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (20528989)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 発酵食品 / 伝統食 / 食文化 |
研究実績の概要 |
本年度は、海外(インドネシア・マルク州およびアフリカ北東部および西部)、および国内(東北地方)で、伝統的発酵食品の調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ、実施できなかった。 そこで、世界の伝統的発酵食品に関する文献調査を行うとともに、総合的・通地域的な考察を行うための学際的な研究会「発酵食品に関する総合的研究会」をオンラインで4回開催した。1回で2名の研究発表を行い、参加者は毎回14ー16名程度であった。代表者の横山は「ヒマラヤの納豆:東南アジアの納豆との比較から」、分担者の藤本は「人類史的発酵論(試論)、およびパンに見る生業と社会の移り変わり(エチオピアの事例)」を発表した。代表者と分担者以外に、カンボジアの魚介類発酵食品、カンボジアの食と生業、タイ・ミャンマー・日本の後発酵茶、タイの発酵米麺などの発酵食品、および納豆菌、酵母、乳酸菌などの微生物の研究を行っている研究者8名の発表を行い、情報交換を行った。とくに、地域の自然環境,微生物,生業,民族の食の嗜好性など,文理融合的な視点から発酵食品についての情報を共有し、発酵食品が各地域もしくは各民族における伝統食の中で,いかに位置づけられているのかを議論した。そして、上記の議論をもとに、本挑戦的研究(萌芽)のメンバー、されに新しいメンバーを加えて、本科研発酵食品に関する研究をより一層進展させるための研究について構想し、基盤研究(S)および基盤研究(A)に申請した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オンライン研究会を開催し、メンバー以外の研究者とも様々な情報交換を行うことができたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ、予定したフィールド調査が全く実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、インドネシア・マルク州およびアフリカ北東部および西部において、伝統的発酵食品の調査を行い、各地の発酵食品の製法、利用方法を調査する。インドネシアでは、伝統的発酵飲料としてのヤシ酒が生産されており、ヤシ酒は世界各地で見られるものの、その位置づけは、地域によって多様である。そこで、インドネシアにおけるヤシ酒の製造・利用に関する現地調査を行い、東南アジア島嶼部におけるヤシ酒の位置づけを明らかにする。また、アフリカ北東部のエチオピアでは様々な食品(パン、パンケーキ、ビール、非アルコール飲料など)に乳酸発酵が関与している。今年度は、エンセーテという独特なイモ類の発酵食品に関する定量的調査を実施する。また、西部では枯草菌で豆類を発酵させた調味料が利用されており、アジア・ヒマラヤの納豆との比較を行う。 ただし、現状では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でいつから海外調査の実施が可能になるのか、まだ見通しが立っていない。したがって、総合的・通地域的な考察を行うための学際的な研究会「発酵食品に関する総合的研究会」などを通じて、メンバー以外の研究者を交えて情報交換を行いながら、調査が出来なくても研究を進展させる。また、国内における発酵食品の産地を異分野の研究者らとともに訪れ、発酵食品についての見識を深めたいと考えている。メンバーそれぞれが、中心的に調査研究している発酵食品に関する文献調査を進めながら、論文等を執筆し、学会発表を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、海外(インドネシア・マルク州およびアフリカ北東部および西部)、および国内(東北地方)で、伝統的発酵食品の調査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響をうけ、フィールドワークが全く実施できなかった。 今後は、新型コロナウィルスの感染状況を判断して、インドネシア・マルク州およびアフリカ北東部および西部において調査が出来るようになり次第、伝統的発酵食品の調査を行うことができるように現地情報を収集し、調査の時期を見定める。ただし、新型コロナウィルスの感染収束を待つだけでは、研究が進展しないため、海外だけでなく、国内の発酵食品の現地調査に軸足を移すことも検討し、研究計画の練り直しを行う。
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