研究課題/領域番号 |
19K21688
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 郷土聯隊 / 戦没者 / 労働市場 / 都道府県 |
研究実績の概要 |
(1)2021年度に引き続き県/年齢コホート別パネルデータを用いて分析を進めた。また、雇用数のみならず賃金についても厚生労働省『賃金構造基本統計調査』の該当部分をデータ化することによって分析に取り入れた。基本的な含意は、2021年度までの発見と変わらない。戦時中の特定年齢コホートの男性の減少は、戦後当該都道府県の農業従事者を一時的に増やし製造業の発展に負の影響をもたらしたが、その効果は中長期的には消失したことが確かめられた。 (2)現段階の結果をもとに2021年度までに作成したプレゼンテーション用の材料を改訂するとともに、本文の執筆に入った。また、欧州において同様の研究に従事しているフランスやスペインの研究者とも個別に連絡をとり、日本のデータの優位性を再確認した。同時に、この研究の制度的部分について英語ではなく日本語話者に発信する必要を認め、日本語でまとめなおし、日本経済学会石川賞講演として報告し、『現代経済学の潮流2022』に投稿し掲載が決定した。 (3)都道府県別各歳別戦死者数については、厚生労働省に残されている戦死者関係の資料の電子複製から集計できないかを担当部局と断続的に協議している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データベースをもちいて都道府県別年齢別に集計するという厚生労働省との交渉が遅れている。データベースの精度の問題や重複の問題が指摘され、技術的に回避可能かどうかという点について合意が成立していない。
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今後の研究の推進方策 |
現時点の材料で夏を目途に本文の完成を急ぎ、各学会での報告の場を求める。また、コロナ禍の国内移動制限が一段落していることもあり、厚労省との相談と並行して、各都道府県への個別の照会による都道府県別年齢別戦死者数の統計を作成する戦略に切り替えることも考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
厚生労働省とのデータベース利用交渉が、先方のコロナ禍の業務急増によって遅延したことによる。本年度も厚生労働省との交渉を継続する。データベースが利用できることになった場合には、その際の費用負担が発生する可能性がある。ただし、交渉の方向によっては各都道府県への直接照会による資料収集に切り替えることも視野に入れる。その他、各種学会への報告機会を求めるため、国内外国旅費として使用する計画である。
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