日本における第二次世界大戦(WWII)の犠牲者が、特定地域の特定年齢階層の男性に偏ったことによって生じた人口構造のアンバランスが、その後の当該地域の産業発展や労働市場に与えた影響を考察した。WWIIを直接経験した世代が高齢化し物故する中、日本社会にもたらした影響について冷静に議論を積み重ねる必要が以前にも増している。厚生労働省や各都道府県援護担当の助力のもとに、新しい統計を作成するなど情報収集も進めた。その結果、WWIIにおいて若年男性を多く失った都道府県では、戦後の製造業化が遅れた可能性があることがわかった。ただし、この効果は数量的には小さく、また高度成長前半でほぼ消失したこともわかった。
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