研究課題/領域番号 |
19K21711
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山本 達司 同志社大学, 商学部, 教授 (80191419)
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研究分担者 |
三輪 一統 大阪大学, 経済学研究科, 講師 (00748296)
田口 聡志 同志社大学, 商学部, 教授 (70338234)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | 会計制度 / 経済実験 |
研究実績の概要 |
2019年度では、次の3つのタイプの研究を行った。第一に、「AIが会計と監査をどのように変えるか」という問題についての研究である。この研究の主たる主張は、次の通りである。近年のAIの発達により、公認会計士がAIに取って代わられる職業の上位にランクされている。しかし、これは会計を単なる取引記録とみなしているので、このような誤解が生じる。実際、経営者は会計利益を開示することにより、証券市場に企業の将来性についてのシグナルを送り、それに対して投資家が反応することにより、証券市場が反転する。このような新たな視点を導入することこそ、社会的厚生を高めるための今後の会計制度改革において重要である。 第二に、「どのように不正会計を防止するか」という問題についての研究である。会計制度改革が何度も行われているが、一向に不正会計はなくならない。そこで本研究プロジェクトでは、制度の厳格化という方法による不正会計の防止には限界があるという問題意識から、「そもそも人はなぜ嘘をつくのか」という根本的な問題を出発点として、心理学的・行動学的アプローチを用いて、不正会計の防止方法を提案している。 第三に、最新の金融商品の会計に関する研究である。ここでは、ビットコインに注目し、暗号通貨という工学的観点、安心して取引できる環境づくりという法学的観点、ビットコイン取引をブロックチェーン上で記録するという会計学的な観点から検討を行った。そして本研究プロジェクトでは、ビットコインの潜在的リスクを指摘することによって、社会に対して警鐘を行っている。 以上3つのタイプの研究は、いずれも本研究プロジェクトの目的である会計制度設計の革新において、重要な役割を果たしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究業績に示すように、論文5篇、学会発表5回を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は実験室で行う経済実験を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、同志社大学自体が閉鎖されてしまったので、実験室を使うこともできなければ、学生の被験者を集めることもできない。これに代わる対策として、現在、オンライン実験の可能性を模索している。 学会発表も予定していたが、上記の理由により中止あるいは中止が検討されている学会も多数ある。そのため、本年度予定していた学会発表が行えるかどうか、不透明な状況である。 論文については、現在、執筆している論文をリバイスして、査読付学術雑誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルスの感染拡大により、次の事態が発生したからである。①実験室実験の学生被験者を集めることができず、実験が行えなかった。②予定していた学会出張・研究会出張が中止になった。 次年度使用額と本年度分として請求した助成金を合わせた使用計画は、次の通りである。①現在も実験室実験を行える状況ではないので、オンライン実験に変更して経済実験を行う。②通常開催する学会も増えつつあるので、オンライン実験の成果を学会・研究会等で積極的に発表する。
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