研究課題/領域番号 |
19K21782
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
國宗 永佳 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (90377648)
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研究分担者 |
野瀬 裕昭 長野県工科短期大学校, 情報技術科, 教授 (60774940)
新村 正明 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (20345755)
山本 樹 明海大学, 総合教育センター, 講師 (30535266)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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キーワード | プログラム動作 / 理解表出課題 / 誤答原因推定 / トレース課題 / プログラミング基礎概念 / 誤答分析 |
研究実績の概要 |
2019年度前半には,与えられたプログラムに対応するトレース課題の正答生成方法についての研究を行った.正答を生成するためには,プログラム内の各行についてどの変数の値が変化するか,真偽判定は行われているかといった振る舞いを事前に分析することが必要である.また,プログラムを実行して得られる変数の値や真偽判定の結果を解答として生成することが必要となる.これらの分析・生成を行うプログラムを開発し,本研究課題が分析対象としているプログラムについて,適切に正答を生成できていることを確認した. 2019年度後半には,単一の理解誤り要因ごとに想定される誤答を再現するプログラム生成の手法について研究を開始した.2019年度前半に確立したトレース課題の正答生成手法と同様の手法を,誤答を再現するプログラムでも用いた.実践で得られた誤答から要因を分析した結果,正答を生成するプログラムの一部を変更することで生成可能になる誤答と,プログラムの実行順序などを大きく変更しなければ生成できないであろう誤答が存在することが分かっている. 前者については,一部の誤答パターンを除き,適切に誤答を生成するためのアルゴリズムを検討し,そのほとんどについて誤答を生成するプログラムの開発を行った.後者については実現方法の検討を行い,今後誤答生成プログラムを開発するための準備を進めた. また,並行して教育実践によるトレース課題の解答データを収集し,誤答の要因分析を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄で述べた2019年度の研究実績は,当初計画において実施する予定であった事項をほぼ満たしている.そのため,「概ね順調に進展している」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では,今後の研究について,以下のように計画している.2019年度の研究遂行状況がほぼ順調であったことを踏まえ,今後もこの計画の通り推敲する. 2020年度前半には,単一要因による誤答生成手法についての検証と修正を行う.2019年度後半に開発する誤答生成プログラムで生成される誤答群と,過去の実践で収集した誤答を比較することで,生成した誤答の妥当性を検証する.また,検証の結果,適切でない誤答を生成していた場合には,生成手法の修正を行う.2020年度後半には,複数要因を含む誤答生成手法についての研究を行う.2020年度前半までに開発した誤答生成手法を組み合わせ,複数要因による誤答生成を実現する.このとき,組み合わせ数が膨大になることを防ぐために,実践によって蓄積した誤答の分析を行い,共起しやすい要因の組み合わせについての検討を行う. 2021年度前半には,複数要因を含む誤答生成手法についての検証と修正を行う.これは,2020年度前半と同様に生成される誤答と,実践で収集した誤答を比較する.2021年度後半には,類似度算出による誤答要因分析手法についての研究を行う.本研究課題で開発する手法で生成する誤答と,学習者による誤答が必ずしも完全一致しない.そのため,複数の生成された誤答と学習者による誤答との間で類似度の算出を行うことで誤答の要因を分析する手法を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により,2020年2月以降に情報収集および成果発表を予定していた学会の多くが,開催中止またはオンライン開催となった.そのため,多数の出張が中止されることになり,主として学会参加費及び出張旅費について,当初の執行計画から大幅な変更を余儀なくされた. 2020年度には,これらについて,情報収集および成果発表のための学会参加費に使用する計画である.また,新型コロナウィルスの感染状況が収束に向かい,関係学会がオンサイト開催される場合には,出張旅費としても計上する計画である.
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