研究課題/領域番号 |
19K21783
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
池田 結佳 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (00439598)
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研究分担者 |
百瀬 桂子 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (60247210)
松岡 久美子 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (90439597)
広田 雅和 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (40835435)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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キーワード | 発達性読み書き障害 / 眼球運動 / 評価方法 / 訓練効果 / 視覚認知機能 |
研究実績の概要 |
読み書き障害をもつ児童の中には眼球運動に問題がある児がおり、同じ行を繰り返し読んだり、読み飛ばしたりすることとの関連が指摘されている。この障害に対して眼科で支援を行う科学的根拠を得るための課題を遂行中である。読み書き障害のない若年健常者6名を対象としてVideo-oculography (VOG)のキャリブレーションの方法について検討した。VOGは眼球運動の計測に使用する機械だが、患児への負担を軽減するするために測定時間を短縮することが求められる。そこでキャリブレーションの基準点を通常の9点から2点に変更し、測定時間を短縮した際の測定精度を検証した。視標位置の検出にはHirota M らが報告 した実空間における眼球運動検査が可能な VOG と物体検出人工知能 (AI) を組み合わせたシステムを改編し,本研究で用いた固視目標を AI に学習させることで計算した。動く視標を追従視させたときの眼球運動をVOGで記録し、平均眼球運動速度を平均視標速度で除した値をゲインとして、2 点キャリブレーションと9 点キャリブレーションの結果を比較した。両者に統計的な有意差はなく、2 点キャリブレーションで 9 点キャリブレーションと同程度の測定精度が担保できることが示唆された。また、読み書き障害には視覚認知機能が関わるとする知見もあり、この点に着目した検討も行った。小児科LD(学習障害Learning Disabilities)外来と眼科の連携を推進し、読み書きに困難を抱える児童を対象に視覚認知機能検査を用いて評価を行い、視覚に関わる症状との関連を検討した。視覚認知機能検査の指数を目的変数、症状のスコアを説明変数として重回帰分析を行った。その結果、視覚認知機能検査の目と手の協応全般指数は症状を適切に評価しており、児童の状態を把握するために有用であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
眼球運動の評価方法については、現実空間において柔軟な検査が可能な装置の開発に加え、測定前のキャリブレーション方法の検討も終えた。予備実験のための被検者リクルートが困難であったため当初の予定より遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の状況に注意しつつNortheastern State University College of Optometry oculomotor test(NSUCO)の被検者データ収集を行う。若年健常者データも追加しNSUCOの正常範囲の決定も並行して行う。視覚認知機能と症状の関連についても検討を進める。児童の的確な支援を行うことを目指して視覚認知機能の側面から困難に繋がる要因を検索し、言語検査や心理検査との関連も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大のため被検者リクルートが滞ったこと、また学会への現地参加が困難であったことから次年度使用額が生じた。
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