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2020 年度 実施状況報告書

光捕集アンテナ構造を導入した人工網膜フィルムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K22107
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

浅岡 定幸  京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (50336525)

研究期間 (年度) 2019-06-28 – 2022-03-31
キーワード光電変換 / 人工網膜 / 励起子移動 / フォトダイオードアレイ
研究実績の概要

(1) 色素のバリエーションの拡充とダウンコンバージョン経路の導入:前年度に判明した、親・疎水鎖の連結点にビピリジンを導入したブロック共重合体(L-lBC)が、金属錯体生成時に連結点のエステル基上で加水分解される問題に関して、アミド基に変換したlBCを合成することで、分解を阻止することに成功した。現在、種々の金属種の導入を検討中である。
ポルフィリンを連結点にもつlBCに関して、亜鉛を中心金属にもつもの(ZnP-lBC)とフリーベース化したもの(FbP-lBC)のそれぞれについて、等方相転移点の異なる2種の液晶部位を有する疎水性液晶鎖と組み合わせたlBCを合成し、混合製膜による二層膜の形成に成功した。導電性電極上に製膜したところ、電極側にFbP-lBC層をもつ二層膜ではZnP-lBCをもつ膜に比べ顕著な光電流値の増大が認められ、ZnPからFbPへの励起エネルギー移動に基づく集光構造が形成されていることが示唆された。
(2) 電荷分離サイトの導入:電子受容体であるC60を連結点に導入したlBCの合成を引き続き検討した。連結点にマロン酸をもつlBCについても、Bingel反応によるC60の導入反応において一部分解が起こることが問題であったため、前項同様に連結点をアミド基に変更したlBCを合成した。加水分解による親・疎水鎖の分断は抑えられたものの、完全には分解を抑制するには至らなかった。そこで、予めBingel反応によってC60を導入した親水性セグメントを合成し、疎水鎖とClick反応によって連結する手法に切り替え、引き続き合成経路を探索中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

分解能を評価するために必要となるSPMに装着する電気化学測定オプションが、コロナ禍の影響により仕様を最終決定するための導入業者による予備実験が滞っており、機器の導入が遅れている。

今後の研究の推進方策

(1) 色素のバリエーションの拡充とダウンコンバージョン経路の導入:連結点にポルフィリンをもつlBCについては、中心金属種を変更したものについても合成を進める。ビピリジンをもつL-lBCに関しても、現在合成中の各種金属(PtやRu)を導入したものをZnP-lBCやFbP-lBCと組み合わせることで積層膜を作製し、集光構造の形成法を確立する。現在使用している疎水性液晶鎖はアゾベンゼンとスチルベンをメソゲンとしてもつものに限られているが、今後ビフェニルなど、さらに異なるメソゲンをもつ疎水性液晶鎖との組み合わせについても検討し、多層膜の作製を目指す。
(2) 電荷分離サイトの導入:引き続き、C60を連結点に導入したlBCの合成を進め、(1)の集光層との積層化を進める。
(3) 光電変換特性の評価:得られた積層膜について、バルク膜としての光電変換特性を光電流応答および色素増感太陽電池の特性から評価する。導電性チップを用いた電気化学測定については、SPMへのオプションの導入が完了次第、測定を開始する予定。

次年度使用額が生じた理由

SPMに装着する電気化学測定オプションがコロナ禍の影響による予備実験不足により仕様決定に至っておらず、機器の導入が遅れている。本年度7月頃には最終的な予備実験を再開し、8月には機器が納入される予定である。機器が納入され次第、順次作製した多層膜の評価を行う。

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公開日: 2021-12-27  

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