研究代表者はこれまで多環芳香族炭化水素(PAH)に対する置換基導入による機能化に取り組んでいる。曲面π共役系であるコラニュレンのπ拡張によって、当初の狙い通りフラーレン展開図としての曲面π共役系の創出を達成した。具体的には、コラニュレンから炭素10個分拡張することで、吸収スペクトルと蛍光量子収率を劇的に制御することに成功し、更に炭素20個分の拡張では、単体では見られない電荷移動型の吸収スペクトルと蛍光スペクトルを見出した。とくに後者はこれまでのπ曲面化合物では見落とされてきた特性であり、今後の分子設計に大きなインパクトを与える発見である。
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