研究課題/領域番号 |
19K22151
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山路 恵子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00420076)
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研究分担者 |
田中 万也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (60377992)
香西 直文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主席 (80354877)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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キーワード | ヨシ / 内生細菌 / 重金属蓄積 |
研究実績の概要 |
U鉱山の鉱さいたいせき場で自生している湿生植物のヨシは、Fe、Mn及びUを蓄積しており、ヨシはUや金属元素の蓄積部位として根の周囲に鉄プラークを発達させていた。細菌の産生する代表的なシデロフォアにはcatechol骨格を有するものが多く存在するが、catechol骨格を有する化合物はFeと沈殿を生じるということが知られている。以上を踏まえ、調査地のヨシに確認された鉄プラークの形成に内生細菌の産生するシデロフォアが関与する可能性を考え、実験を行った。根より内生細菌を分離し、シデロフォア産生能を確認したところ、分離された837菌株の内生細菌のうち88.6%に相当する742菌株がシデロフォア産生能を有していた。DNA解析による同定の結果、高いシデロフォア活性を示した上位10菌株はPseudomonas属細菌、Herbaspirillum属細菌、Rhizobium属細菌であった。これらの10種の内生細菌が産生するシデロフォアが鉄プラーク形成に寄与するか確認するため、Feイオン (Fe2+及びFe3+) と内生細菌の培養濾液を混合させたところ、Pseudomonas属細菌及びRhizobium属細菌の代謝産物がFeとの沈殿を形成させることが明らかとなった。また、HPLC分析の結果、Pseudomonas 属細菌4株、Rhizobium 属細菌 1株の培養濾液からは同種と考えられるフェノール性化合物が検出された。以上のことから、内生細菌が産生するシデロフォアがヨシの鉄プラークの形成に関与することが示唆された。最終年度には、同じ調査地の上流域に自生するヨシに着目し、同様の調査・実験を行なった。同じ調査地でも、酸化・還元状態が異なる水環境においては、1)鉄プラークの発達には顕著な差があること、2)ヨシの重金属蓄積にも多少差があること、3)根における微生物相にも差があること、3)などが明らかになった。
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